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怪文書置き場

2012-08-01から1ヶ月間の記事一覧

JNコンフィデンシャル 1/14

第一章 Slit Your Guts 1[小立 俊弘] 水が口から鼻から入ってくる。息ができない。顔を上げられない。生暖かい手に首の後ろを押さえつけられ、おれはバスタブの冷たい水の中でもがいていた。 水の中から引っ張り出され、咳きこみながらやめてくれ、といいか…

JNコンフィデンシャル 2/14

2 [小立 俊弘] 「はい?」 暢気な声とともに小綺麗なマンションの一室の扉が開いた。その瞬間、花山がおれの背中から飛び出してその男へブラックジャック――花山がおれを襲ったときにも使った武器で、二重にした靴下にナットをぎっしり詰めている――を振り下…

JNコンフィデンシャル 3/14

3 [泉 哲朗] 「たれこみがあった」 咳きこみながら答える――胸/背中に鈍痛。 二人の襲撃者=顔を晒していたもやし野郎/最初から目出し帽だった背の低い男。完全に不意を突かれた。身体=椅子に縛られている/手=後ろ手に縛られている――一切抵抗できない。…

JNコンフィデンシャル 4/14

4 [橘 創] 退屈な会議。不毛な会議。無益な――。 スーツ姿の人間が議論している。プロデューサーどもが議論している。スクリーンに色鮮やかな文字が、図が踊る。プロモーションのテーマ。コンセプト。スケジュール。ターゲット。シナリオ。 新しい方策が必要…

JNコンフィデンシャル 5/14

5[小立 俊弘] 泉の襲撃から数日後。おれ、花山、泉はまた泉のマンションに集合した。呼び出した花山は、今後の作戦会議だと言った。 「犯人像はあるのか?」 泉が聞いた。 「そうだな。まず言えるのは、そいつはオービットのファンでもアンチでもないだろう…

JNコンフィデンシャル 6/14

6 [泉 哲朗] 花山からの情報=被疑者:男/二十~三十代/身長は百七十前後/中肉中背。そいつが目の前の雑居ビルからおれに接触した。おそらくは、店子の芸能事務所・中村プロダクション関係者。建物の前で張り込み、被疑者が出てきたら尾行して特定する。…

JNコンフィデンシャル 7/14

7 [泉 哲朗] 張り込みから五時間半が経過――二十三時十五分。事務所内の動き/変化=いっさいなし。立ちっぱなしで足が痛む。欠伸が止まらない――浮かんだ涙をぬぐって事務所の窓に目を向けた瞬間、心臓が止まった――電気が消えている――やつがでてくる。ビルの…

JNコンフィデンシャル 8/14

8[橘 創] 朝から事務所は騒然としている――うすら馬鹿どもをかきわけ、高木を探してデスクへ――高木は誰かと話している。 警告音が鳴り響く。ここは危険だ。長居できない。早くここを離れろ。 二十代半ばくらいの男――顔は見えない――かすかに見覚え――話し声が…

JNコンフィデンシャル 9/14

9 [小立 俊弘] 花山が死んだ。 おれはニュースを読んで、すぐに泉に連絡した。できるだけ早く会いたい。念のため、泉の家から離れたところで落ち合うことにした。 「花山が死んだ」 泉が来るなり単刀直入に切り出した。自分の声が震えていた。泉の反応も待…

JNコンフィデンシャル 10/14

第二章 NOIRISH x HATE x WORLD 10[泉 哲朗] 帰宅/リビングに入る。灯りをつけようと、暗闇の中壁に手を伸ばし――瞬間、部屋の灯りが点いた。不意打ち――パニックに陥る/掌で光を遮る/手を振り回す。 「元気にしていたか」 含み笑いを隠さずに拝島が言っ…